ゴミ屋敷は現在、大きな社会問題になっていますが、そのアパート版と言える「汚部屋」の問題も最近クローズアップされています。アパート版ゴミ屋敷は、ほかの住民にも悪影響を与える、オーナーにとっては大変な問題です。この記事では、アパート版ゴミ屋敷について解説するとともに、どのように対処すればよいのか考えていきたいと思います。
山口市でアパート版ゴミ屋敷とは
アパート版のゴミ屋敷は、戸建て住宅のゴミ屋敷とは異なり、ほとんどの場合、外から判別することができません。戸建て住宅のゴミ屋敷は、外にもゴミや不用品があふれかえっていますが、アパートの場合、は外部から玄関が見えないため、その存在自体が多くの人の目にふれないだけなのです。ひどい汚部屋は、共用部やベランダにまでゴミがあふれて大変な状況になっています。こんな状況なのでもちろん、アパート版ゴミ屋敷の隣近所に住んでいる人には、その存在は認識できますが、同じ建物に住んでいると、かえって苦情にしたくないという心理がはたらくせいか、ゴミ屋敷の存在をオーナーが認識するまでに時間がかかることが多いようです。
アパート版ゴミ屋敷が生まれる原因
アパート版ゴミ屋敷は、どんな原因で生まれてしまうのでしょうか?
生活苦
アパート版ゴミ屋敷は、住人の生活苦が原因で生まれることがあります。あまりにも困窮していることで、ほかの物事に気が回らなくなり、ゴミを捨てることさえどうでもよくなってしまうのかもしれません。飲酒の習慣により生活が乱れ、部屋を整理できない入居者もいます。
常識の欠如
掃除をしたり、片付けをしたりすることは常識です。もちろん、「掃除は苦手」「掃除なんてしたくない」という人はたくさんいますが、それでもほとんどの人はアパートの部屋をゴミ屋敷にするようなことはありません。元々、常識が備わっていない人ならば、人から借りているお部屋なのにゴミをためこんでしまってもおかしくはありません。ただ、常識が備わっていない人ですから、いくら注意してもなかなか問題の解決には至らないでしょう。
高齢化による健康状態の悪化
一人暮らしのお年寄りが健康状態の悪化によりゴミ出しが難しくなり、ゴミをためこんでしまうケースがあります。同情の余地があるケースだといえますが、周囲に住む人が気を配るなどすれば防げたことかもしれません。しかし、アパートやマンションだからこそ、人間関係が希薄になるということも考えられます。これはなかなか難しい問題です。認知症によりゴミを出すことができなくなってしまうお年寄りもいます。
住人の精神疾患
住人が、うつ病、ADHD(注意欠如・多動症)などの精神疾患を患っていてゴミ出しができなくなり、ゴミをためこんでしまうケースがあります。うつ病は、怠けぐせとは異なる、完全な病気です。ADHDは、集中力が継続しなかったり、片付けができなかったりする発達障害です。こうした患者さんの多くは、他人に病気のことを正しく理解してもらえないことに悩んでいます。もちろん、これがアパートの部屋をゴミだらけにしてもいい言い訳にはなりません。住人の精神疾患も非常に対処の難しい問題です。
多忙すぎてゴミ出しできない
多忙すぎてゴミ出しができず、ゴミをためこんでしまう住人もいます。女性のゴミ屋敷住人も少なくありません。
アパート版ゴミ屋敷による影響
アパート版ゴミ屋敷が発生してしまうと、アパートに悪影響が出てしまいます。
悪臭・虫やネズミなどの発生
ゴミ屋敷にためこまれるゴミには、食べ物などの生ゴミが含まれています。ゴミがためこまれると、悪臭が発生するとともに、ゴキブリやダニ、ハエ、ネズミなどが発生し、近隣住民にも悪影響を及ぼすことになります。汚部屋の内部は足の踏み場もないほどにゴミが積み上げられるため、時にはゴミの崩落やゴミのかき分けによる騒音も発生します。
入居者が見つからなくなる(退去者も増える)
入居希望者がアパートの部屋の内覧に訪れても、アパート版ゴミ屋敷が目に入ってしまうと、当然、入居をあきらめてしまいます。アパート版ゴミ屋敷の原因になっている人は居座る傾向がありますから、この人がいる限り、アパートへの新しい入居者は見つからないでしょう。このような状況ですから、現在、入居しているほかの住民の多くが退去を考えるでしょう。これではオーナーにとって大打撃です。家賃収入が激減すれば、アパートのローン支払いにも影響があるかもしれません。
火事のリスクが上がる
アパート版ゴミ屋敷にためこまれるゴミの多くは可燃ゴミです。汚部屋でタバコでも吸われたら、オーナーとしてはたまったものではありません。火事になれば、アパート一棟全焼ということも十分に考えられます。アパート版ゴミ屋敷の場合、外部からは見えないことが多く、放火のリスクは少ないかもしれませんが、ゼロではありません。
火災保険に入っていたとしても、火事が起きていいわけがありません。火災が発生してしまうと、その後、損害賠償請求などに対応しなければならなくなる可能性もあります。今後の不動産投資計画にも、狂いが生じることは間違いありません。
原状回復費用がかさむ
アパートやマンションの部屋の原状回復は、国土交通省から出されているガイドラインに基づいて、その請求先を決めます。アパートから退去する場合、ごく普通の暮らしを送っていれば、明らかに入居者に非がある汚れと認められる場合を除いては、オーナーが原状回復費用を負担します。アパート版ゴミ屋敷の場合、明らかに入居者に非があると考えられますが、アパートのひと部屋を汚部屋にしてしまうような入居者はいつの間にか姿を消してしまうことも多いようです。本来、話し合いで決められるべき原状回復費用ですが、ゴミ屋敷の場合、結局はオーナーの負担になってしまうことが多いのです。
アパート版ゴミ屋敷への対応について
不幸なことに所有するアパートの一室が汚部屋になってしまった場合、オーナーは早急にこの問題に対処しなければなりません。ここからは、アパート版ゴミ屋敷の住人にオーナーがとるべき対応についてご紹介します。
住人への勧告
近隣住民からのクレームにより、もしくはオーナー自身が汚部屋の存在に気づいた場合は、すぐに汚部屋の住人に状況を確認します。この最初の連絡でさえ、住人から無視される場合もありますが、その場合は勧告を行います。勧告は、ポストなどにメッセージを入れるのではなく、裁判の際でも証拠として採用可能な内容証明郵便にて行ってください。内容証明郵便は、住人に事の深刻さを理解させるに足りる力を持ちます。「指定日までにゴミを処分しない場合は契約解除」という趣旨の内容証明郵便を送ることで、住人が連絡してくることは多いようです。
山口市の不用品回収業者の利用をすすめる
アパート版ゴミ屋敷の住人から連絡が来たら、住人に、不用品回収業者を利用してゴミを撤去することをすすめましょう。その際、住人が「お金がない」などと言ってくることは想定しておいてください。残念ながら、オーナーの提案どおりに住人が動いてくれるとは限りません。問題を即時に解決することを優先して、オーナー側が譲歩して処分費用を少し負担することは、家賃収入への影響と比較すると、莫大な損失とはいえないでしょう。ただ、アパート版ゴミ屋敷の問題が、このように比較的スムーズに解決できることはまれです。
アパート版ゴミ屋敷だと気づいても、オーナーがやってはいけないこと
アパート版ゴミ屋敷の存在に気づき、住人に連絡したが返答がない…このような状況では、ご紹介したように内容証明郵便を送り、返事を待つのが得策です。しかし、内容証明郵便すら無視されてしまうようだと、オーナーとしては対応に苦慮してしまいます。しかし、やむにやまれずに行ったオーナーのちょっとしたことが、後々不利な材料になることがあるため注意して行動しなければなりません。
ドアに張り紙はNG
汚部屋の住人から反応がないからといって、ドアに室内の状況を確認するようなメッセージを書いた張り紙をするのはやめましょう。ほかの入居者の目にも入ってしまう場合、名誉毀損に該当してしまう可能性があります。
許可なく室内に立ち入り、ゴミを処分はNG
いくらオーナーとはいえ、住人の許可なく室内に立ち入り、ゴミを処分してはいけません。ほかの入居者に迷惑がかかるため、気持ちは痛いほどわかりますが、このような行動は所有権の侵害に該当します。たとえ室内で住人が亡くなっていたとしても、住人が夜逃げしていたとしても、オーナーは室内にある物を勝手に処分することができないのです。
ライフラインを止めるのもNG
家賃を滞納しているアパート版ゴミ屋敷の住人はめずらしくありません。家賃を滞納しているのだから、その対応策として、
「水道や電気などのライフラインを使えなくしてもいいのではないか?」
などと考えたくなりますが、これも絶対にやめてください。これは自力救済と呼ばれる行為です。不法なことに不法なことで対処してはいけません。
結局は内容証明郵便がベストな対応
ご紹介したように、オーナーであっても、アパート版ゴミ屋敷の住人に対してできることは限られます。結局は内容証明郵便を送る以外に対応策はないのです。
内容証明郵便で契約解除を警告しておけば、住人からの返答がなかったとしても、期日が過ぎても住人が居座った場合、不退去罪として警察に介入してもらうことが可能になります。オーナーには冷静な対応が求められます。
アパート版ゴミ屋敷の原状回復について
アパート版ゴミ屋敷の原状回復に関しては、先ほどもふれたとおり、国交省のガイドラインに基づいて決定します。しかし、アパート版ゴミ屋敷の場合は、ほぼ完全に元入居者の過失になるので、元入居者が負担するのが筋でしょう。ただ、元入居者には支払い能力がない場合も多く、実際はオーナー側が負担する割合が多くなります。オーナーとしては、元入居者に少しでも多く支払ってもらえるよう、できる限りの努力をするほかありません。
アパート版ゴミ屋敷の原状回復費用について
ゴミ屋敷になってしまったアパートの部屋を元に戻す場合、クロスやフローリングを張り替えることになるので、通常の原状回復よりも費用はかなり高額になると考えていいでしょう。もちろん、その前にためこまれたゴミを撤去しなければなりませんから、その費用もかかります。部屋の広さにもよりますが、クロスの張り替えで1部屋10万円ほど、フローリングの張り替えで1部屋20万円ほどはかかります。ためこまれたゴミの撤去にかかる費用は、ゴミの量にもよるのであくまで目安となりますが、5~10万円程度は間違いなくかかるのではないでしょうか?
アパートの部屋がゴミ屋敷化することを防ぐためにできること
お話ししてきたとおり、アパート版ゴミ屋敷は、オーナーにとって大きな損失になります。高齢化や病気など、対処が難しい場合もありますが、ゴミ屋敷化を防ぐためにできることは、日頃からやっておくことが大切です。
特約の設定
契約の段階で自衛手段として、ゴミをためこんだ場合は契約解除が可能な特約を設定しておくと効果的です。ゴミをためこんだ場合の基準も示しておきましょう。
定期的に巡回・点検
オーナーは、アパートの各所を定期的に巡回・点検しましょう。その際、各部屋の玄関周辺からの異臭や、ポストの状況、共有部の使用状況などをチェックします。住人がいるはずなのにポストから郵便物やチラシがあふれている場合は要注意です。問題把握のために、入居者にアンケートをとってもいいでしょう。
早めの対応
巡回・点検、入居者からの苦情などにより発覚した問題には迅速に対応しましょう。
入居者・管理会社とのコミュニケーションを密に
日頃から入居者や管理会社とコミュニケーションをとっておくだけでも、トラブル回避に効果があります。
まとめ
アパート版ゴミ屋敷について、原因や対処法も含めてご紹介してきました。問題が長引いてしまうと、オーナーは収入的にも、今後のビジネス的にも大きな打撃を受けることになります。オーナーとしては、自衛手段をとりつつ、もしも部屋がゴミ屋敷になってしまった場合は、内容証明郵便を送付し、できるだけ迅速に問題を解決することが重要です
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